光陰矢のごとしなんて言葉があるように
あっと言う間に時は流れ、2008年もあと29時間余りを残すだけに。
一年の単位が切り替わるだけで、1日24時間の流れは過去も未来も変わらぬものであるが
こうして、年の瀬を迎えると過ぎ行く歳を振り返り、迎え来る新しい1年に期待を抱く
この繰り返しを飽きる事無く、脈々と繰り返し「歳」が重ねられて行く
時の流れは、旧き時代を終わらせ、新しき時代を創造し、その新しき時代も
いつの日にか旧き時代へと変わり、時代のターンオーバーを繰り返す
かつて、東洋一の規模を誇った扇形庫を持つ小樽築港機関区もその時代の
ターンオーバーで消滅して行った。
幼き日に「憧れの聖地」「C62の居る場所」として、夢を抱いて訪れた場所
そして目の前に聳え立つ大きな、とてつもなく大きなラウンドハウス
その中に佇むC62、D51、そしてキューロクたち

夢は儚いものであり、いつの日にか覚めるものでもある
その大きなとてつもなく大きなラウンドハウスの主たちは黒い鋼鉄の馬から
紅いマシンへと変わって行ったが
いつ本来の主である黒い鋼鉄の馬が帰って来ても大丈夫とばかりに
威厳を保ったまま彼の地に聳え立ったままであった
本来の主が消えて約7年の歳月が流れても、こうして北帰行したC56を迎え入れ
約1ヶ月からの滞在をしっかりと受け入れることが出来たものであった。

しかし、時の流れは黒い鋼鉄の馬から赤いマシンへの時代へ
ターンオーバーさせただけでは済まなかった。
新たな時代として、国鉄と言う一家をJRとして分割民営化し
集約と合理化と言う大鉈が振り下ろされて東洋一を誇った「城」を明け渡すことに。

扉を閉ざしたラウンドハウスにもはやあの栄光の時を思わせるものは何も無くなってしまった
茜色に染まる空の下、かつての住人C623が佇むものの、その扉は開かれず
時の流れに逆行したC62と時の流れのままに流されるラウンドハウスとの対比が
ただただ、物悲しさを語るようであった。

そして、大きなとてつもなく大きなラウンドハウスが主を失い、自らの存在をも否定され
時代の波、時の流れに飲み込まれるように消えて行った。
時の流れに・・・
画像1 現役時代末期の昭和49年1月撮影。
本来なら前年の10月で無煙化された小樽築港であったが入換えと排雪用に
49年3月まで、キューロクとD51が数両だけ残っていた。
画像2 すでに無煙化されDD51の砦となっていた昭和55年11月撮影。
北海道鉄道開通100周年記念行事として梅小路から借り出されたC56160
画像3 平成2年7月撮影。
10月に取り壊しが決まった扇形庫を讃え、「ノスタルジックガレージ」と
銘を打ってのC62まつりでの撮影
画像4 平成2年10月撮影。
大型重機が惜しげもなく解体を始める中、運行を終え帰着したC62が
ターンテーブルで方向転換。